第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【伍】
「イエヤスゥゥゥッ!!許さんっ!!」
俺と刑部さんは暴れ狂う三成様を無理矢理気絶させ、そのまま籠へと放り込む。
俺は一つ溜息を零し三成様の守っていた佐和山城を見渡した。
だけど、美しかった佐和山城は竹中半兵衛様の手によりほぼ壊滅。
とてもじゃないけど人が住める状態ではなかった。
それに…。
あの女みたいな変な野郎に半兵衛様は…。
思い出すだけで腸が煮えくり返りそうになる。
元はと言えば、全て徳川家康の野郎のせいなんだ。
奴が裏切らなければ、また違っていたのかも知れない。
それを刑部さんに言うと賢人殿の生命は何れにしても儚く散る運命だったと言う。
そして、家康が裏切る事も避けては通れぬ運命とも言っていた。
「せめて…綺麗な顔で送りたかったよ」
半兵衛様…。
俺はそう呟くと刑部さんもそうよナァと答え、半兵衛様にそっと布を掛けた。
「…そう。かすがは大阪城を張っていたんだ」
俺様は佐和山城を後にし、旦那の待つ甲斐へと帰る途中、上杉謙信の忍・かすがと出会う。
「あぁ…。徳川は赤子の手を捻るように、豊臣を崩した」
かすがは俺様が抱いている人物に視線をやる。
「これが、豊臣の姫か」
またの名を" 傾国の花 "
「やっぱりかすがも知っていたんだ」
まぁ…有名と言えば、有名か。
何せ、あの智将の毛利元就から大坂の豊臣、竹中、それに凶王三成、刑部に島左近。
あぁ、後は松永久秀と伝説の忍もそうだったか。
名のある武将を虜にした白き花。
「名前だけは、な。実物は初めてだ」
かすがはまじまじと名前ちゃんを覗き込む。
「匂いがどうたら言っていたが…」
首を傾げるかすが。
そう言えば、俺様もその匂いにやられた筈だった。
かすがは女だから効かないのかと思っていたが…。
「うーん、匂いがなくなったみたいだねー」