第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【※弐】
その鈍い音は何時までも鳴り止まない。
何度も、何度も、何度も…。
「や、止めろ!貴様っッ!半兵衛様に!」
祈織が軍師さんに何をしているかやっと理解出来た凶王さんは今残っている力で止めろと叫ぶ。
だが、凶王さんの静止も無駄に終わり、祈織は竹中半兵衛の亡骸を足蹴にして行く。
愉しそうに、微笑みながら。
「折角、私が刻を止めてやっていたのに」
そう言った祈織の言葉に大谷の旦那が反応する。
「…っ、そう、か。ヌシが元凶か…」
そう呟いた旦那は何かを知っているようだ。
「殺せ、と言ったのに」
祈織は呟きながら未だに足を止めない。
「捕えるはずが、逆に囚われて…」
役立たずが。
「っ…酷い、これは…いくら何でも惨すぎる…」
思わず声が漏れるも、回りにいる人間らはその光景から離れず、俺様の呟きも耳に入っていない。
「ふははっ!」
やがて竹中半兵衛の顔の肉が削げ落ち、もう誰だか解らない。
殆ど抜けてしまっていたが散らばる白い髪で軍師さんだと解る程度。
次第に頭蓋骨は潰れ、そこからは脳がはみ出る。
尋常じゃない量の血液とソレ。
降る雨のせいで更に赤が広がる。
それでも笑いながら踏み潰している祈織は完全に異常者だった。
「流石に、言葉が出ない…」
口を抑えていた、その時だった。
" 止めろっッ!"
叫び声と共に誰かが飛び出した。
俺様は凶王さんだと思い、良くあんな状態で素早く動けるなぁ。
そう思っていたんだ。
だけど、それは…凶王さんでも島左近でも、大谷の旦那でもなくて…。
砂埃から現れたのは…
彼女だった。