第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【fifty-second.】
" 僕を忘れないで… "
半兵衛様の最後の言葉。
でも、それはちゃんと言葉にはなっていなくて…。
そして、最後まで " 私 " の名前を呼ばずにこの世から去ってしまった。
「半兵衛様…」
" わたし " は何度も、何度も呼んでいたのに、私は一度も呼ぶ事が出来なかった。
「半兵衛様、私は…」
貴方や三成様の為に黙っていたなんて偉そうな事言ったけど、本当は怖かっただけなんだ。
「半兵衛さま…」
最初から記憶が戻った事を伝えていれば良かったんだ。
そしたら、そしたらっ!!!
" あぁ…名前 "
もう、遅い。