第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【fiftieth.】
※前回同様セリフ抜粋・捏造有
「っぐぁぁぁあっッ!!」
半兵衛様の刀が三成様の背中を貫いた。
「っ!三成様っ!!」
俺は思わず三成様に駆け寄ろうとしたが、すぐさま刑部さんの手で遮られてしまい、それは叶わなかった。
「刑部さん…」
刑部さんはただ静かに首を振り、二人の戦いに視線を戻した。
もう、どのくらい経ったのだろう…。
凄まじい戦いが繰り広げられる中、俺と刑部さんは只の傍観者となっていた。
なっていたと言うより、誰も近付ける状態ではなかった。
それに…俺と戦っていた半兵衛様と三成様が戦っている半兵衛様は次元が違っていて、やはり俺は遊ばれていたんだと力の差を見せ付けられたような気がした。
やっぱり、適わねぇ…。
それと、俺は改めて確信したんだ。
「刑部さん…やっぱり半兵衛様は三成様に…」
そう俺が刑部さんに話しかけるとヌシは解ったかと言い、話を続けた。
「そうよ。ちと、荒療治にも程があろうが…賢人の残りを考えれば解らぬでもないが…」
俺は残りと言う言葉に対して首を傾げていると、刑部さんは何れ解る、と言い、お互いにそれ以上の事は語る事がなかった。
「三成君、君は減点だらけだ」
そう言った竹中半兵衛は得物を突き刺したまま私を蹴り上げる。
「っぐぁっ!!」
それと同時に背の肉が裂け、傷口がじわりと熱を伴い抑えきれない程の鮮血が飛び散った。
「この程度の裏も読めないようでは先が思いやられるよ…」
そう言った刹那、竹中半兵衛が私に向けられていた殺気が途切れた。
「な…半兵衛…?」
私は地に這っていた自身の身体を持ち上げ竹中半兵衛の姿を捉える。
その時の半兵衛の表情は切なくなる程に無表情であった。
どの位見つめ合ったであろうか。
竹中半兵衛が目を伏せると同時に私に向かって言葉を綴った。
「感情の昂りで容易く瞳を曇らせる…」
半兵衛、様?
離反では、なかったのですか?
何故、私を殺さないのですか?
何故、そのような事を仰るのですか…?
何故、そのような哀しい瞳をなさっているのでしょうか…。
「その…悪癖は、早く直してくれ」
その時だった。
半兵衛様が私の目の前で…
赤に染まった。