第1章 ふわり、ふわりと夢、うつつ
”知らぬ花ぞ”
頭の中で何度もリフレインする。
あれから私は部屋へ下がらせて貰った。
目が廻る、
ぐるぐる、と廻る。
私がこの世界に居る事、あの夢が夢でない事。
そして、あの人は誰なのか…。
「分解からないよ…」
あの日から私と元就様は故意的に避けるようになった。
「ふぅ…」
何時も通りがそうでなくなった日が続く。
元就様とのお茶会がこんなにも当たり前になっていたとは思いもしなかった。
「何か、寂しいかも…」
心の中で呟いたはずだが、声に出ていた様で、隣に居たお菊さんがニヤリとした。
「恋煩いですね」
と楽しそうに話す。
この時代の女の子も恋の話しは好物みたいだ。
否定するのも面倒になり、乾いた笑いをする。
恋、ねぇ…。
私がこの世界で恋をしたらどうするのかなぁ…。
帰る方法が解ったとしよう。
だけどどれかを選択しなければならない。
その人を選び此処に留まるか、その人を置いてでも、元の世界へと帰るか。
もう一つはその人を連れてまで帰る、とか…。
最後のは無いな。
歴史やバサラ自体がおかしな事になるよ。
まぁ、例え恋などしても、私は帰還を選ぶだろう。それに、命が幾つあっても足りない。
私は元の時代に帰る…必ず。