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【戦国BASARA】闇色夢綺譚 ※R18

第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~


月を眺める。
望月にはまだ早いが、やはり月は美しい。


半兵衛様の自室から淡い灯りが漏れる。
あぁ、良かった。まだ起きていらっしゃった。
部屋の付近迄近付くと、半兵衛様以外の気配がした。

これは、名前、か…。

そして、私は一歩踏み出した、その時だ。





「っ…ぁ…し、重治、さん…っ」









私は走った。

何も考えず、ただ、ただ、ひたすらに走り続けた。


「っ…はぁ、はぁっ…」


息が出来ない。


呼吸とは、何か。

言葉とは、何か。


人間としての当たり前の事が、私の頭の中から綺麗に消え去る。


「私は、私は…」



月が陰り、やがて雨が降り注ぐ。


私は自身を強く抱く。

「私には、孤独しかないのか…」

美しく浮かび上がっていた十三夜月はもう居ない。

あの時の彼女はこの月と同じように、消え去ってしまった。


雨は強くなる。


私もあの月の様に、消え去る事が出来るのなら……。
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