第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【※thirty-fifth.】
ふわり、ふわりと夢、現。
何処から夢で
何処まで現か…。
揺れる、ゆれる…。
廻る、まわる…。
白い世界が覆い尽す。
此処は一体何処だ。
我は確か何時もの通りに執務をこなしていた筈なのだが…。
辺りを見渡すが、何もなく白一面に広がるだけだ。
「これは、夢…」
夢である事は確かだ。だが、気味が悪い程に意識が明白である。
その時、我の足が果てしなく続く白の先へと勝手に進みだした。
「…我をか様な場所へ導き、何を企んでおるのか」
我は見えざる輩に話し掛けるように呟くも、それに従い進む。
辺りは白で覆われている為、進んでいる感じはしない。
暫く進んでいると、少し先に何か居るような気配がした。
あれは、人間か?
「っ…!」
それに近付けば、近付く程に我の心の臓が煩くなり、呼吸が乱れ行く。
懐かしいあの花の匂い。
甘い、甘い香りが我を捕らえる。
以前にも増して、花の香りが強くなった気がする。