第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【thirty-third.】
※温い表現有※
ふわり、ふわりと夢、現。
何処からが夢?
何処までが現?
揺れる、ゆれる…。
廻る、まわる…。
白い世界が覆い尽す。
私…。
わたし…。
誰…。
だれ…。
泣いているの…。
悲痛な叫びが聞こえる…。
あぁ、独りでは守れないものね…。
あぁ、大切なモノを失ったのね…。
ワタシも守るわ。
私が包んであげるわ。
でも…
私は
わたしは…
一人…。
あ…。
誰かが此処に来る…?
でも、全て霞がかって誰だか分からない。
「貴方は誰?」
白い空間に、わたしと貴方の二人だけ。
その人はわたしに向かって手を差し延べた。
抱きしめられる。
わたしはその腕を知っている?
私はその温もりを知っている。
「貴方はだあれ?」
わたしはもう一度、問いかける。
貴方はわたしに向かって言った。
けれど、わたしには聞こえない。
貴方は誰に話し掛けているの?
わたしにも聞こえる様に言ってよ。
「ん…」
その人に唇を塞がれた。
やがてそのキスは激しさを増し、深くなって行く。
「ぁ…んっ…」
気持ち良い。
わたし…
私…
知ってる。
そのまま押し倒され、その人の唇がわたしを犯して行く。
「あっ…ダメ…」
うつ伏せにされ、背中を舐め回される。
「ぁ…っ…」
その人はわたしの身体で感じる所を全て知っているみたいだ。
痺れが止まらない。
身体中が熱い…。
もっと、もっと、気持ち良くして…。
「ぁっ…もっ、と…」
何て卑しい女なの…
素性も分からない人に簡単に自分を許してしまうなんて…。
でも、身体が勝手に求めてしまう。
わたしの中の私が欲しいと求めている様な、そんな感じ。
でも、やっぱりわたしには聞こえないし、見えない。
「んっ…、あなたは…」
だあれ…。
やっと聞こえた、貴方の言葉。
でも、現のわたしは、直ぐに忘れる…。
夢での逢瀬。
わたしは、
私は…
囚われる。
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