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【戦国BASARA】闇色夢綺譚 ※R18

第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~


わたしは月から視線を外すと良く知った姿を見付けた。

あ、重治さん見っけ。

彼を見付けた瞬間、胸が高鳴る。
その高鳴りは早く重治さんの所に行ってとわたしを急かす。

あぁ、何て分かり易いのかしら。


「重治さん、こんな所に、あ…」

えーと…石田、様?

だったっけ?

わたしが彼の名前を呼ぶと彼…石田様は少しだけ顔を歪めた。

名前、合っているよ、ね?

「…君は今日から秀吉の娘になったんだ」

様は要らないよ、と重治さんはわたしに向かって言う。

あ、そう言う事ね。

わたしは名前を間違えたと思っていたので少しだけほっとする。


秀吉様の娘、ね…。


わたしが秀吉様の養子になったのは本当についさっきの事。

そんな事を考えていると石田…さんに呼ばれる。

「名前、姫様…。」

あれ?何だろう。
彼に " 名前 " って呼ばれた時、何か変な感じがした。
前にも感じた物足りなさ。

うーん、分からない。
って、姫って何かこそばゆい。

「あぁ、やっぱりそうなるのね…」

実感沸かないし、慣れないよ…。と苦笑いをする。
だって、本当についさっきなんだもの。




改めて考えてみると、わたしはこの世界の人間じゃない。

わたしは此処に居て良いの?

わたしは重治さんの傍にいて良いの?




今にも泣きそうなお月様、


アナタの願いは何?



わたしの願いは…。
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