第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
彼女が固まったまま動かなくなった。
先程の事が余程堪えたのかも知れない。
僕が大丈夫と声を掛けようとした、その時だ。
「…おとう、さん…」
今度は皆が彼女の言葉に耳を疑った。
「「「「…は?」」」」
あ、そう言えば…。
僕は手を額に付けて溜息と共に言葉を吐く。
すっかり忘れていた。
彼女の御父上が、秀吉に似ている事を…。
「何たる失態…」
あの時は物凄く衝撃的で記憶の隅に追いやってしまった。
僕とした事が…。
あぁ、だからか。
熊を見ても驚かなかった。
それなら辻褄が合う。
すると、今迄静かだった秀吉が言葉を発した。
「・・・・・うむ、娘よ」
「「「「え?」」」」
…ひ、秀吉にこんな茶目っ気があったなんて…。
彼女を驚かすつもりが逆に僕が驚いてしまった。
彼女をチラッと見てみると、某くの一の様に、花が咲き誇っているのが見えた。
(お、おとーさぁーっっっ!!)
(娘よっ!!!)ガバッ ←抱擁
(ま、負けないよ…秀吉…)
(ヒッ…。ふぇあ…?まぁ、良い。太閤が御父上。三成、越えられぬ壁がまた一つ、増えたなァ)
(だ、黙れ!刑部!!)
(あはははっ!てへペロって何だ!)
(小生はまた熊、って何故じゃーっ!)