第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【twenty-fifth.】
熱くなった顔をひたすら手で扇ぎ、冷ます。
何て事をしてくるの、あの人は…。
違う意味でドキドキしている胸を押さえて大きく深呼吸をする。
少し、長いな…。
何やら話が長引いているみたいだ。
何を話しているのかな?
そんな事を考えていると、部屋の中から重治さんが入って来いとわたしを呼ぶ声がした。
わたしは掌に人と言う文字を書けるだけ書いてそれを飲み込む。
名前、推して参る!
何故、このセリフが出て来たのか分らないが、震える指先に力を入れて戸に手を掛けた。
「あ、初めまして…名前と申しま、す…」
わたしは緊張し過ぎて皆の顔を見る余裕などなく、そのままぎこちなく挨拶をする。
そして、重治さんはそんなわたしに苦笑いをするも、次々に皆さんを紹介して行った。
皆の紹介も終え、ようやくこの雰囲気に慣れ始め少しだけ顔を上げ彼が紹介した方々を上目で覗く。
名前もそうだけど、改めて見てみると物凄い人達。
そして、なんてイケメン!?
重治さんもそうだけど、クマさんも実は格好いい。
そして、家康…さん?様?太陽みたいで好青年って感じ!しかも、あの徳川家康だし!すごっ!
次は大谷さん。何で浮いてるの?乗りたい!な、何かフェアリーだ!
そして、石田さん。
やだ、美人!スタイル良すぎ!睫毛長っ!髪の毛サラサラ!けしからん!!
「…どうでも良いけど、全部声に出ているよ」
ニッコリ。
そんな擬音がピッタリな冷たい笑顔をありがとう…重治さん…。
うわぁい…。
「………てへペロ☆」
もう、あれですよ。
そんな意味が分らない雰囲気の中、家康さんだけが爆笑していました。
「はぁ…そして、最後に…」
呆れながら重治さんはこの城の主、豊臣秀吉様を紹介してくれた。
彼を見る。
わたしは目を疑った。
何で、どうして…?
それだけがわたしの中で回っていた。
そして、やっと、言葉が出た。