第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【twenty-fourth.】
これで何度目になるのだろうか。
君とこうして唇を重ね合わせる度に、君にもっと触れたくなる。
今も僕の身体が、唇が、手が…君の熱を求めている。
もっと、もっと、僕に委ねて…。
君の全てを、僕に…。
「んっ…は、」
まだ、足りない。
自然と離れた唇はまだ足りないと君の唇を求める。
「大丈夫、君の綺麗な髪は綺麗なまま」
伸ばしていたのは、僕の為?
熱を帯び、宝石の様な瞳を見つめる。
そう囁くと顔を赤らめ、まるで " そうです " と言っている様に俯いた。
「ありがとう」
溺れて行く…。
君と言う、奇跡の泉に…
もう、二度と這い上がる事の出来ない君に、
溺れる…。
な、何だったの…。
「あぁ、乱れてしまったね」
整い次第、僕の部屋に来てくれ、と重治さんは言って部屋から出て行ってしまった。
乱したのは貴方じゃない、と言えたら苦労はしない。
あぁ、顔の熱が冷めない…。
そっと、唇をなぞってみる。
「熱い…よ、重治さん…」
足りない…。
もっと、もっと、重治さんが…。
「欲しい…」
なんて思っているわたしは、可笑しいのかな?
重治さんも、同じ気持ちであれば良いのに。
わたしは彼の温もりが残る自分自身を抱き締めた。
そしてわたしは急いで整えて重治さんの部屋へ向かった。
入ると彼は先程の事が無かったかの様に振る舞い、あぁ、やはり綺麗だね、と涼しい顔でクサいセリフを言う。
本当に、意地悪で狡い人…。
「ふふっ…じゃ、行こうか」