第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
久しぶりに逢った君は少し成長していた。
否、少しどころではなかった。
恐らく十三、四くらいではないだろうか。
僕が名前を言った時、何故知っていると驚いた様な顔をしていたので間違いないだろう。
夢の中での逢瀬。
「わ、わたしを知っている…?ってか、血ーっっ!!!」
大丈夫ですかと何度も尋ね、拭くものと何度も繰り返し、色々な場所を捜す。
その行動は何故だか彼女らしいと思った。
そして彼女の唇に人差し指を添え、怪我ではないよ、と前と同じ言葉をもう一度告げる。
君は、僕の事を覚えているだろうか。
彼女は何処からか出した白い小さな布で僕の口元から首に掛けて拭ってくれる。時折首筋に触れる彼女の小指の先がこそばゆい。
「昔にも…」
こんな事ありました。
微かに覚えている程度ですが、その人も血塗れで、でも怪我ではないと言って。
僕は彼女の話を懐かしむ様に聞く。
「あぁ、その人は白くてお姫様みっふぁっ!?」
僕は彼女の口から姫と言う言葉が出た瞬間、頬を掴み、横に引っ張りあげた。
「僕に何度も同じ事を言わせないでくれたまえ」
君の目はやはり節穴だったようだね。
あぁ、懐かしいと思いながら彼女の頬を堪能する。