第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【fifteenth.】
静かだ…。
僕は死んだのか…?
身体が動かない。
暗い、寒い…。
あぁ、微かだが声が聞こえる…。
これは僕を呼んでいる?
近付いて来る…。
気配が僕にとって少々眩しい。
だが、悪い気はしない。
「ねぇっ大丈夫!?き、救急車っ」
太陽の陽射しのように、ふわりと温もりが僕の身体を包む。
死ぬ間際にこのような優しさを味わえるのなら、もう十分だ。なんて思わせる程に、その温もりは冷えきった僕を溶かしてくれた。
あぁ、君は誰なんだい?
触れたいとそう思い、指先に力を入れてみる。
すると固まっていた指先が、身体が動いた。
あぁ、まだ…。
倒れる僕に触れていた手をやんわりと掴んだ。
「何時もの事さ、心配ないよ。只、何時もよりも酷かっただけ…」
頭を支えながら霞む目を醒すかの様に目頭をおさえる。
すると、ふわり、と香る匂いに気付く。
甘い、甘い花の香り…。
あぁ…君なんだね。
やっと、逢えた…。