第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
闇よりも深い闇。
全てが闇色に覆われている。
此処は何処だろう…。
あの時、何時もより酷い発作が僕を襲い、何度も繰り返す咳で意識を失った。
しかし、どうしてこの様な所に居るのだろうか。
落ちる、
堕ちる、
墜ちる、
おちる……。
どれが正しい答えなのだろう。
ただ、落ちているのではなく、ふわりと浮いている様な感じだ。
少しだけ目を開けて見ると辺りは暗闇に包まれていて目を閉じていても余り大差なかった。
どれだけ落ちれば気がすむのだろう。
かなり長い時間が経っているような気がする。
そう、気がするだけだ。
こうも真っ暗だと、時間も、視覚も、あらゆる機能が麻痺してしまう。
そして、僕自身も見失いそうになる。
時刻だけが過ぎて行く。
落ちているのか、浮いているのか、上下さえも把握出来ない状態。
精神崩壊、と言って良いだろう。
僕はこんなにも脆かったのかと初めて知る。
地獄ならさっさと連れて行けば良い。
そう諦めかけた時、辺りが一変する。
上下、左右、暗闇の中でその闇の色がぐるぐると回る。否、僕自身が回っているのかも知れない。
これも地獄の一環なのか、と回る頭を支え、終わりが来るまで一向に耐える。
その時、また状況が変化する。
ふわりとつま先が地と思われる場所に着いた。
それは硬くて、冷たい感触。
此処が終着だろうか。
あぁ、地獄に着いてしまったようだ…。