第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【eleventh.】
夢の中で夢を見る。
これは僕が見た、
長い、長い
夢物語…。
今日も何時もの様に溜まってしまった執務を時間の事は記憶の隅に追いやり、一向に熟していると、時期を見計らったように息の詰まった咳が襲いかかる。
「ゴホッ!がはっっ!!」
透かさず口元を抑えると、掌の隙間から赤い液体が滴り、僕の白い夜着を瞬く間に染め上げた。
何時もならこれだけで治まる筈なのだが、どうやら今日はこれだけでは済まないようだ。
何度も繰り返す咳と吐血。
その度に喉が焼け付き、錆びた鉄の味と臭いがまたか、と思わせる。
咳による酸欠で、次第に目は虚ろになり、意識が遠のいて行く。そして、その場に崩れ落ちてしまった。
僕にはまだやらなくては行けない事があるのに、こんな所で止まってしまうのか。
秀吉と共に、夢を叶える。
あともう少しの所なのに、僕は此処で散ってしまうのか。
「秀、よ…し」
僕はゆっくりと瞳を閉じた…。