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【戦国BASARA】闇色夢綺譚 ※R18

第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~


【tenth.】








確か、こんな感じだった。

人より少しだけ冷たいけれど、真綿の様に包んでくれた掌、とても大切にしてくれた…。
いつも、優しく抱きしめてくれた…。


待っていたの…。

アナタが綺麗だねって褒めてくれた髪だって伸ばし始めたし、少しはアナタに近付きたい、アナタに似合う人になりたい、そう思って女の子らしい事したり、苦手だった化粧だっていっぱい頑張った。
もちろん、勉強もね。

なのに、アナタは突然居なくなってしまった。

毎日あの公園に足を運んだ。

雨の日も、風の日も。

今日こそアナタに逢えるんじゃないかって…。

でも、行ってみても何も変わらなかった。

あるのは何時もと同じ寂れた遊具、疎らに敷き詰められた白い花…。


白詰草が雨風に曝されて、寂しく佇んでいるだけだった。

それはわたしの心を写しているようで、より一層哀れに感じた。



そして、わたしは祈ったの。




お願い、神様…。

わたしの願いを叶えて…。

あの人に逢いたい…。

逢いたくて、逢いたくて、

あの人の名前を呼びたいの…。

もう一度、あの人の温もりを感じたいの…。


あの人の事を想うと胸がこんなにもギュッとなって…苦しくて、寂しくて、切なくて…

どうにかなりそうなの…。

どうして良いのか分からないくらい、あの人の事が…。


お願い、お願い…。

わたしの願いを叶えて…。

今直ぐじゃなくて良いから、



わたしをあの人の…


あの人の元へ…。







わたしは白い花に祈りました。
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