第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
医師が名前の処置の終わりを告げた途端、張り詰めていた場の雰囲気が解けた。
私も抑えていた足を解放する。
その時半兵衛様は彼女に一つ言葉を残し、額へと口付けを落とした。
「!?」
私は半兵衛様の行動が信じられなかった。
そして、半兵衛様が私に着いて来るようにと声を掛けた。
私は彼女が気になるも、半兵衛様の命に従うしかなかった。
「さて、三成君」
僕が聞きたい事が分かるかい?
半兵衛様は私に問いかけた。
十中八九、名前の事だろう。しかし、私にもどう言う事か分らなかった。
「はっ、申し上げます」
私は半兵衛様に事の仔細を伝えた。
少人数であれば抱えながらでも葬る事が可能でございました。が、数が私の予想を遥か超え、名前…彼女を目立たぬ場所に置き、刑部と共に残党共を蹴散らしました。そしてある程度数を減らし応援を呼びに参ろうと彼女を迎えに行くも時既に遅く、連れ去られた後で…御座いました。
私は一つ一つ、半兵衛様に御報告した。
「…彼女の事だ。どうせ死体を間近で見て耐えられなくなって移動か何かしたんだろうね…」
無理もないよ、と半兵衛様は仰った。
「半兵衛様、失礼ながらお聞きしたい事が御座います」
この三成めに、質問の許可を…。
私は半兵衛様に、名前との関係を尋ねる為、許可を求めた。
「…良いよ。許可しよう」