第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【fifth.】
痛い、熱い、止めて、もう嫌だ!!
死にたい!死にたい!こんな痛み、耐えられる訳がない!
アナタなら殺せるでしょ!
早く楽にしてよ!!
何で殺してくれないのっ!!
痛みに耐えていると口を塞いでいた物が外れた。
チャンスだ。これで楽になれると舌を出し、思い切り噛み付こうとした。だが、訪れたのは痛みでも何でもなく、弾力のある物の感触とジワリ、と広がる鉄の味であった。
「っっ!!!」
どうして、どうしてなの!!
何故!
何故…死なせてくれないの!
何故アナタの方が辛そうなのよ…。
彼はわたしが噛み付いた痛みにより、表情が歪む。
それでもわたしに心配をかけないよう平然を装い、大丈夫、心配ないよ、と言い聞かせる。
足の痛みよりも、彼が苦痛に耐えている表情を見ている方が、何よりも痛かった。
涙を流しながら彼にごめんね、ごめんなさいと、何度も目で訴えた。
彼は薄く微笑みながら大丈夫、君は何も心配しなくて良いんだと何度も頭を撫でてくれた。
「竹中様、無事に終わりました…」
医師が処置を終らせると彼女は瞬時に意識を飛ばした。
「良く頑張ったね…お疲れ様…」
僕は彼女の額に一つ口付けをし、頭を撫でその場を離れる。
「半兵衛様!…その、御手が…」
僕は問題ないよ、と言う。
すると、医師がせめて清潔な布を巻いておいてと布を渡される。
僕は一応それを受け取ると曖昧な返事をし、三成君を呼ぶ。
「三成君、ちょっと来てくれるかな?」