第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【※彼岸花の色に染まる】
「刑部!そっちはどうだ!」
私は残党共を刹那に散らして行く。
切っても切っても何処から湧き出てくるのやら、これでは埒があかない。
刑部の様子を伺うと、問題ないと返ってくる。
クソっ!
この雨がなければもっと速く処理できるのだが…。
雨は先程から強くなりだし、本降りとなっていた。地は雨によりぬかるみ出し、相手もそうだが、私達にも立地が不利になる。
このままでは無駄に体力を消耗するだけだ。
「刑部!ある程度片付けたら先を急ぐ!」
私は無駄を減らすべく、刑部に伝えた。
「三成、アレはどうしよる!」
刑部が敵を蹴散らせながら私に話す。
私はそれに対し、私が抱えて走ると叫んだ。
「ヒッ…。凶王自らと」
春ヨナァ、と呟いていたが気にしない事にした。
吐き気がする。
そこらに充満する鉄のニオイ。
そして、肉の塊。
池のように溜まった血の上に、数えきれない程の腕が、足が、そして、首が…。
切断面が綺麗に切れている者も居れば、ちぎれかかっていたり、首がないのに動いている胴体、そして身体を探し求めている腕…。
おぞましい…。
地獄絵図、と言うのだろうか。
ゲームは切ったら消えたりしてストレス解消などと言い、舞台は殺陣のシーンが恰好いいとかいくらでも言えていたが、実際は何とも言えなかった。
私はそのニオイと塊を間近にして耐えられなくなり、草の陰で嘔吐した。
「げほっゴホッ!!」
私には無理だ。
帰りたい、帰りたい…。
元の時代に帰りたい…。
何故、私がこんな目に合わなくてはならないの?
何故、私なの?
私をどうしたいの?
私が、何をした!!
私は嗚咽を殺しながらひたすら泣き続けた。
その時、後ろに気配を感じ、振り向こうとするが、一足遅く簡単に口を塞がれる。それと同時に腹に衝撃が走った。
「み、つな…」
最後まで名前を言う前に、私の意識は暗闇に堕ちて行った。