第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【※穢れ朽ち逝く白い花】
私は刑部に後を任せ、名前を連れ出す為に、置いて来た場所に向かう。
「名前!」
しかし、辺りを見渡してみるが、名前の姿が見当たらない。
何処だ、と焦る気持ちが先走る。
他を探そうと踵を返した時だ。
パキン…。
私の足の下から何かを踏む感触がした。
足を退けてそれを掬い上げると彼女が何時も好んで挿していた薄い紫の玉簪であった。
「クソっ!!」
私が居ながらもっ!
「許さん…」
私は名前の簪を握り潰し、我を忘れて叫ぶ。
「許さん、許さん、許さん、ゆるさん、許さんぞぉぉぉっっ!!!!」
私に…私にこの者達を切り刻み殺す許可をっ!!!