第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【春の訪れ】
とうとう大阪城へと赴くその日が来てしまった。
今朝方、三成さんが私の部屋へ訪ねて来て明朝に大阪城に向かうので準備しておけ、と言った。
大阪城、豊臣秀吉、竹中半兵衛。
そしてあの戦いが近付く。
徳川…家康…。
月と太陽が重なる時、私はどうするのだろう。
私は…。
「行くぞ」
そして次の日、私達は出発した。
って、え?マジでか!?
「み、三成さま、一つ宜しいでしょうか…」
何だ、と彼は答える。
何だではないと思います。前もそうだったのだが、本当にそれで行くのだろうか。
「う、馬は…」
思わず指差し確認をしてしまう。
そして、刑部さんを見ると何時もの御輿に乗っている。
そして、私。
「あの、言いにくいのですが」
私、馬に乗れません…。
今迄一度も乗ったことがない。
何故なら移動は風魔だからだ。←
三成さんは何だ、そんな事か。
そう言うと私に近付き、少ない荷物を奪うとそのまま刑部さんへと投げた。
私はどうするのだろうと一連の行動を見ていると、三成さんは私を抱き上げた。
え、抱き上げた、抱き上げた?
抱き上げたァっ?!!?
そう、乙女の憧れ、お姫様抱っこ!私は憧れてはいないが、これは恥ずかしい!しかもあの石田三成に姫抱き!
美人が近いよーぅ。
コワイよーぅ。
目の保よーぅ。
「何をさっきからごちゃごちゃと…」
三成さんが私の目を見つめ、涼しい顔で話す。
え…、あ、もしかして…。
「ヒーッヒッヒッぶはぁっ!!」
刑部さんは御輿から落ちそうになるくらいの勢いで笑っていた。
ほんと、どうにかして。