第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
その日の夜、昼間の刑部さんの言葉のせいか、なかなか寝付けられないでいた。
どうしようと考えていると、刑部さんから頂いた嫁入り道具の中に、良い酒があった事を思い出す。
「久々に、月見酒でもしよー」
さっそく厨に向かい湯を沸かし少し熱めの燗にし、いそいそと縁側に向かう。
「ふんふんふーん♪」
すてーきーなじーごーくっ♪
何処かで聴いたような歌を口ずさみながら熱燗をお猪口に注ぎ一口煽る。
「こ、これはっ!」
元就様の所で頂いたお酒もそうだが、美味、美味びみー!
ホクホクの顔で呑み続け、また、歌を口ずさむ。
「じーごーくっ♪」
次のフレーズを歌おうとした時、聞きなれた声が私の歌を遮った。
「ヒッ…最近の女子はそんな物騒な歌が流行りよるのか?」
例の御輿でふよふよと私に近付く。
「あ、刑部さん、こんばんは」
お酒頂いてます。
そう刑部さんに向かってお猪口を掲げた。
傍から見ると首が飛んでも可笑しくない。
が、今の私は無敵だ。(ドヤァ)
「流行ってるって?」
この歌は私の時代の歌だから流行りようがないのだが…。
「安芸に赴いた日、甘味屋の女子が歌いよってナァ」
そしたらヒナギクも歌いよる。
そう刑部さんは話してくれた。
……………。
まさかのトリッパー!?
マジか!!
そしてその後、私は酔って刑部さんにイヤらしく絡み、そこに三成さんが乱入し、なかなかカオス。
「い、いい加減に…」
しやれ!
ズゴンッ!!!
「あいたぁーッ!!!」
こうして私の一日が終わった。
(ヒヒッ…柔らかな肌よなァ)
(刑部うぅぅっっ!羨ましいではないかっ!)
(痛いよーぅ。鬼灯さまぁ…)
鬼灯様とトリッパーを出してみました。