第1章 ふわり、ふわりと夢、うつつ
突如頭の中に浮かび上がったのは、白い花に祈りを捧げる私の姿。
だけど、その姿の映像も後僅か。
"見知らぬ草花の匂い"
元就様はそう言っていた。
それは先程の映像と関係があるの?
「白い花、草花の匂い…」
白い、花、白い、しろい…
って、
「あ、れ…?」
先程まで憶えていた筈が私の記憶から消えた。
今、私は何を思い浮かべていた?
今、何を考えていた?
思い出せ、思い出さなくては…。
何故だか解らないけど、大切な何かだった様な気がするのに…!
大切…?
何が…?
今現在大切に思っている事は自分自身の何者でもない。
では、何故この大切と言う言葉が出て来たの?
知らない匂いって何?
「駄目だ。何も解らない…」
私の心の中に残ったのはすっきりしないモヤモヤだけ。
だけど、そのモヤモヤを思うと胸が苦しくて、辛くて…。
「どう、して…」
こんなにも、
切ないのでしょうか…。