第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【偽善者】
気持ちの良い空。
そして、
眩しい太陽。
忘れはしない、あの人の事。
元就様には悪い事をした。
物凄く良くして下さり、私を大切にしてくれた。
それなのに、私は裏切るかの様に黙って出て来てしまった。
頂いた着物も、簪も、そして、
彼の想いも…。
全てを置いて来た。
裏切ってはいけない、彼を独りにしてはならないと思っていても、あの夢が何なのか、知りたかった。
ごめんなさい、元就様…。
貴方をまた、独りにしてしまいました。
私は貴方の過去に何があったのか、そして、これからの事も…。
それを知りながらも、私は此方に来て真相を探るも、何も糸口は見付からず、ふしだらな行為を繰り返している。
それを私の体質のせいに仕立て上げ、情事を喜びに変えている私も居る。
所詮私もただの女だったという事だ。
そして、独りにしてはならない人物がもう一人居る。
石田三成。彼もそうだ。
彼はこれから沢山の大切なモノを失い、その事を考えると胸が締め付けられる様に痛くなる。
関ヶ原…。
前にも言ったが、どうしようも、ない…。
偽善者になるだろうが、此処に居る間だけでも彼の支えになりたいと思った。
助けたい、皆を救ってあげたい…。
でも、私には為す術もないのだ。
「あ、そう言えば…」
物思いにふけていると重要な事に気付く。
此方に来てからあの夢を見なくなった。
元就様の所に居た時は必ずと言って良い程見ていたのだが、今はどうだろう。
夢と言う存在を忘れているかの様に、ぱったりと途切れた。
その代わりにリアルで罰当たりな事をしている。
「…何なのよ」
本当に何人の人に貞操を許してしまったのだろう。
「あ、あ…」
何思い出してるのだ、私は…。
私は今迄の行為を思い出してしまい、一人で項垂れた。