第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【触れていたい】
私は名前の手を引き、強引に布団の中へと彼女を抱き込んだ。
「お前は可愛いらしいな…」
と更に自身の胸へと押し当てる。
小さくて、温かい。少し…否、かなり間抜けではあるが、私の気持ちを汲み取ってくれる。
名前、私はお前に触れても良いのだろうか。
この私が、お前の温もりを感じても良いのだろうか。
私が、お前を愛しても良いのだろうか…。
「く…ぷはっ!み、三成さま、くるひ…」
私は三成様にキツく抱きしめられ、今度は私が彼に見詰められていた。
彼が触れている所からじんわりと熱が伝わり、しかも凄い美人に見詰められている訳で自然と顔が紅潮し、彼にも伝わってしまう程胸がドキドキしていた。
「お前の此処の音…聴こえる」
三成様の大きな手が、私の胸へと添えられる。
「!!」
余りにも自然に手を置くものだから、更にドキドキが止まらない。
「あ、あの、三成様」
お手が…と私は顔を真っ赤にさせ、視線は三成様の顔と手を行ったり来たり。
そして次に三成様の顔を見ると、私の胸は張り裂けそうになった。
「み、三成、様…」
どうして、そんなに、儚く微笑むのでしょうか。
私は何とも言えない気持ちになり、そのまま三成様に魅入る。
私の胸に置いてあった手が、私の頬にするりと移動する。
「お前に触れても良いだろうか…」
お互いの額を少し付けていつもより低い声で囁く。
まるで誰かに許しを請うかの様に…。
「三成…さん…」
私は居た堪れなくなり、彼に手を伸ばした。
その時、三成さんは少し震えていたような気がした…。