第2章 憧れはいつだって
現在、心臓は爆発寸前。
高い位置での姫抱き、それに仮面同士がこつり、とぶつかり合っている。
その事実に、くらくらと目眩がした。
所詮わたしは子ども。イタリアという異国の地に、少しでも背伸びをして入った自分に罰を与えたい気分だった。
会場から拍手が上がる中、ステージ上のお父さんと思われる人の方へ…なんとお姫様抱っこのまま連れていかれる!
「う、うそ…!いいです!下ろしてください!自分で歩けますから!」
そうはいっても足はまだプルプルと震えている。
緊張、羞恥、劣等感。
負の感情がまるで足に集中しているかのように。
わたしがいくら抵抗したところで、相手はイタリア人。
きっと話は通じていないだろう。
と思ったのだが…
「いいっていいって!首領のかわいい娘さんをエスコートするのが、花婿の仕事ってもんでしょ?」
つらつらと、流暢な日本語で返答された。
返答とは言っても、わたしの【下ろしてくれ】というお願いは全く聞き入れてくれてないようだ。
それに、妙に引っかかる言葉が二つほど。
「あの…首領って?それに…はなむこ?」
仮面越しに問いを投げかける。
熱い自分の熱気が、覆われた膜にこもる。
熱が吹き出そうだ。
「あれっ?もしかして知らないの!?うっそーマジで?
可哀想に!」
ヒソヒソと2人だけの会話。
何を知らなくて、何が可哀想なのかさっぱりわからない。
そのうち、ステージの上へ着いてしまった。
お姫様抱っこは結局解除されてしまい、奇妙な会話は終わってしまった。
ステージ上からは人が豆粒みたいで、不思議と先ほどの緊張は去っていた。
わたしを抱えた男は左に、お父さんだと思われる者は右に。
二人の大男に挟まれる気持ちはなんとも不快であった。