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【マフィア松】鳥籠の花嫁【R-18】

第2章 憧れはいつだって


未だに息が整えられない。
酸欠と同時に、突然の衝撃。

物事の整理をするのには順序が必要だが、今のわたしには生憎その時間は取り残されてはいなかった。

背後から伸びてくる長い腕が、わたしの上半身の上で交差する。この腕は見覚え…いや、身覚えがある。

そう、先ほどの…

「つーかまーえた」

ねちょぉ…
お父さんとは反対の方向の耳にまた下側って入ってくる。鳥肌は立ちっぱなしであった。
ただ、こちらの男の下の感触の方が、新鮮なためか気持ち悪い。

「やめて、はぁ…はぁ…」

本当に吐き気がする。いま、ここで逃げなければ…死ぬ

「わたし、はぁ…日本に、かえります…!」

「なぁに言ってんのぉ?ここ、イタリアだよぉ〜?」

「っ…!そんなの、百も承知です!」

やんわりとクロスした腕は意外と簡単に振り解けた。

相手は仮面を取り外していたが、光の加減でその表情は未だにわからないままだった。

そしてわたしは相手との距離を取り、ステージ上の、人が集まってい非常口だと思われる方に向かって走り出した。

不思議なことに、わたしの体は恐怖に飲ままれているものの、震えることは無かった。

逃げ足だけは早い。それを利用しこの狂った空間から逃げださねば。

非常口のドアを捻り、螺旋階段を猛スピードで下る。
念のために持ってきたイタリアで換算すれば100万もの大金をここで使うことになるとは…

まずは空港を見つけること。事前に調べたが、この時間帯でも日本行きの便が一本だけある。
それに、もしダメだとしても警察だって…さらに言えば軍隊だってある。

とにかく、今は逃げなきゃ!


『待て!どこへ行く!』
『追え、追うのよ!』

後ろワーワーと喚く声が聞こえても振り返らない。

わたしに残された道は一本なのだから。
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