第29章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、全員集合〜
ただいまとお邪魔しますが交互に玄関から聞こえれば、廊下を走る音。
「みゆさーん!!!てつろーさんだけずるいー!!!」
「月島だけずるーい。」
『莉奈ちゃんは可愛いけど、京治はもう少し感情ほしい。』
棒読みのずるーいは色んな意味で破壊力がある。思わずツッコミを入れそのまま洗面所に送り出すと、最後に来たクロから買い物袋を受け取った。
「追加の肉とネギ、こんだけあればいい?」
『大丈夫!結局頼んじゃってごめんね。』
「急遽昼前に人数増えたんだししょうがねえだろ。肉で何作んの?」
興味津々に問いかけられ口を開こうとするが、それを阻むように隣から小さな塊が滑り込んできた。
「てつろーさん早く手洗ってきて。美優さーん!ご飯お手伝いしたいです!」
「おっ!まえなぁ…今ひっつかれたら手洗うのに邪魔になんだろ。」
私が口を開く前に莉奈ちゃんがクロの背中を押し洗面所に移動していく。
その微笑ましさに笑みを浮かべながら渡された袋を広げお肉とネギを取り出すと、その間に荷物を私の部屋に置いた莉奈ちゃんが髪を結いあげたスタイルでキッチンへと戻ってきた。
「みーゆさん、やることありますか?」
『莉奈ちゃん荷解きはいいの?』
「後でやるからいいんですー!それに今じゃないと美優さん独り占めできないし。」
そんな冗談にくすくすと笑いながら莉奈ちゃんができそうなことはと考えれば、袋から出るネギと目が合う。
「ネギ…小口切りにできる?」
そう問い掛ければ嬉しそうに莉奈ちゃんはネギを切り始める。それを横目に見ながら私は昼とおせちの準備に取り掛かったのだった。