【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第2章 お屋敷での共同生活
合わせた目線はそのままに
目をも狐へと変化させる。
同時に少量だが妖力を使い、幻を見せてやる。
瞬間、視界が黄金色に染まる。
サァっと音を立てて揺れるのは芒。
咲夜と紅夜にも見えているだろう。
狐にとって芒畑は楽園だ。
幻だとわかっていても心地よい。
世喜は目を見開いてはいるものの
怯えた様子もなく、妖気にあてられ倒れる様子もない。
気に入った。
「咲夜、紅夜、少し遊んでおいで」
意図的にこちらから2人を狐へ変えてやる。
クン、と小さく鳴いて、芒畑へ駆け出していく。
こうやってみると尾の数は多いにしたって
まだまだただの狐だ。
私はああやって無邪気に遊びまわることなんて
忘れてしまった。
「世喜」
「はい」
小さく名前を呼べばはっきりとした返事が返ってくる。
「名の契約としよう。
そなたの名前は私がもらう。
代わりに新しい名をやろう。」