第2章 に
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ゆっくりしてけと言う智君に曖昧に返事をした。
やはり主がいない家に居座るわけにはいかないと思い立ち上がった。
準備の為に先に出ようと寝室の扉を開けた智君が小さく声をあげた。
O「あっ」
S「どーしたの?」
O「あれ忘れてた」
リビングのテーブルには晩酌で使ったグラスなどがそのままになっていた。
一緒に片付け洗い物をさげた所でまたスッキリとしたいい香りが鼻をかすめた。
S「…香水?」
O「んぁ?俺つけないよ?」
S「そうだよね。ちょっといい香りした気がしたんだけど」
O「あー。これ?」
頭を顔の近くへ傾けられる。
スタイリングもされてない髪が顔にあたってちょっとくすぐったい。
それに、にやついてしまいそうになるのを耐えた。
O「あれ?でも一緒じゃねーのか…?」
そう言いながらカウンターの端にあるボックスの蓋を開けた。
中からオイルを渡された。
ボディーケアの為に何年か前から俺が買ってるやつと同じとこのだった。
S「同じとこの俺も使ってる!」
O「うん、当たり前じゃん」
S「えっ、なんで?」
O「なんでって、ここのがいいって教えてくれたの翔くんじゃん」
S「そだっけ?」
O「マヂで忘れてんの?ハンドクリームとか色々メンバー分買ってきてくれてさ」
S「あー!あったね!」
思いだした。
使ってみたら思いのほか良くて皆にオススメしたんだ。
そしたらみんな使ってみたいっていうから4人分買いに行ったら1つ1つがそこそこの大きさだからすごい量になって、買い出しみたいになって大変だった。
でも今も使う位気に入ってくれたなら頑張ったかいがあった。
でも、オイルは知らなかった。
智君がいうには俺が渡したやつが無くなってからはお姉さんに買って来てもらっていたらしい。そしたら髪や肌に塗ってもいいし、お風呂にも数滴いれて入れるとオイルをオススメされ使っているのだそうだ。
香りのラインナップは同じだからいい香りだと思ったのだろう。