第1章 いち
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なんでこうなっちゃうかな。
優しいのはいいんだけど、
甘やかされてるみたいなさ、
自分も我慢してくれてるくせにさ、
なんだか優先されて
流れにのっちゃうからいけないんだけど、
なんだろ、
優しいけど、けどね。
俺ばっかりじゃなくて一緒にがよかったし。
よくわかんない置いてきぼり感。
S「ココ、座りな」
ソファに座ると後ろからドライヤーをあててくれる。
優しく触れてくれる指先からも愛情は充分過ぎるほど伝わってきてる。
なのになかなか気分が浮上できずにいる。
S「まだ怒ってる?」
A「ん?怒ってなんかないよ?」
そう、ホントに怒ってなんかない。
ただ勝手にもやもやしてるだけ。
翔ちゃんは俺のことを考えて最後までしなかっただけ。
でもあそこまでされてスッと切り替えられちゃうと、熱を下げきれない気持ちがついていけなくなる。
魅力が足りないのかな、最後までしたくはないのかな、って。
S「納得できない、みたいな顔してよくいうよ。雅紀はね自分がもっと色気あることに気づいた方がいい。どれだけ俺を困らせてるのかね」
A「俺困らせてる? 」
S「だからその顔がだめなんだって、、」
見上げると困った顔がゆっくり近付いてきた。
触れ方は優しいのに好きだって、愛情がこれでもかって伝わってくるようなキスだった。
唇が離れても翔ちゃんの手はゆっくり頭を撫でてくれていた。
S「話して?雅紀の気持ち。知りたい。」
自分でもわからないままの気持ちをなんて話していいのかわからない。黙っていると、翔ちゃんが話してくれた。
S「俺はね雅紀が好きだよ。ほら、またそんな顔をする。こうやって触れててももっと近くにって思ってしまう。」
S「雅紀はどう?」
・・・・
A「翔ちゃんが好き。」
S「うん。」
A「一緒にいれて嬉しい。」
S「うん。」
A「一緒にいれるだけで嬉しい。」
S「うん。」
A「だからね、わからないの。」
S「うん。」
A「翔ちゃんはなんで我慢できるのかなって。」
S「あーえ?そこなの?」
A「え?」
S「まさかだわ!!そっか!はははは!笑」