第4章 真選組のしごと(後編)
汚い笑い声が倉庫いっぱいに広がる。
(想像より多かったなぁ…)
腰に刀を差した浪士たちがあっという間に中央に置かれた机ごと取り囲んだ。
名前は鉄パイプを両手で構え、土方と沖田は同時に抜刀して敵の動きに集中する。
男達は予め決めておいたのであろう定位置つくと次々に先制威嚇を始めた。
「この前はよくも俺たちの仲間を殺ってくれたなぁ?!」
沖田の眉がピクリと動く。
「天下の真選組サンが女連れてなんの相談してるんだぁ?」
土方の眉がピクリと動く。
「卑猥な相談なら俺たちも混ぜろやぁ!!」
名前の眉がピクリと動く。
3人揃ってドス黒いオーラが全開に放出されたことに浪士たちは気付いていない。
それぞれがテーブルを背に正面の敵を見据えると武器を握る手に力が入る。
沖「一体いつの話ししてるか知らねぇが…」
土「真選組に女がいちゃ悪ぃか?」
『どいつもこいつも、女オンナって…』
「あぁん?聞こえねーなー?」
「命乞いなら腹から声出せや!!」
「そしたら聞いてやらねーこともねぇ…かもしれねぇなぁ?!」
『土方さん、沖田さん。手加減っていります?』
土「んなもん、必要ねぇよ」
沖「俺も思う存分暴れされてもらいやすんで」
「コソコソと逃げる相談か!?」
「犯すぞコラァ!」
その瞬間、3人の中でプチンと何かが音を立てて切れた。
そして―
沖「先に斬りかかってきやがったんの向こうでィ!」
土「真選組の女を侮らねぇ方がいいぜぇ?」
『てめぇらはオンナをなんだと思ってやがるんだぁ!!』
一斉に地面を蹴って宙に浮いた。
ドゴオオオォォォォォォォン!!!!
浪士たちが一人、また一人と血飛沫を上げて舞い上がる。
名前の鉄パイプは4人を撲殺してからポッキリと折れて使い物にならなくなった。
その隙を付こうと男がニヤリと刀を振り上げるが、一歩早く踏み込み手首めがけて蹴り上げる。
クルクルと円を描いて持ち主から離れたソレに気を取られている一瞬に、今度は振り上げ足を頭に落とした。
グェッ!と蛙が潰れたような声を上げて額を床に打ち付ける。
そして―
『アンタだっけ?犯すぞって言ったのは』
脳震盪を起こしかけてクラクラする頭を無理やり起こすと、散々罵倒した女が見下げていた。
クルクルと弧を描いて刀が名前の頭上で光った。