• テキストサイズ

ストロベリーフィールド

第4章 真選組のしごと(後編)



『ごめんなさい。色々と気を遣わちゃってみたいで…』

山「そ、そんなことないよ!?正直もっと深刻なのかと思ってからホッとしたよ」
沖「土方さぁん。杞憂に済んでよかったじゃねぇですか~?」
土「っるせ!てめーはだぁってろ!!」

肘でつつきながら口元を歪ませてニタニタ笑う沖田から顔を背けて胸ポケットから煙草を取り出す。
そんなやり取りを見て名前はあの言葉の意味を初めて知った。

―あとコイツの陰口なんか言ってみろ?殺すぞ―

(そうか、余計な心配をさせない為にあんなことを…)


名前はそっと目を閉じて少し耳を外に向けてみる。

(この人の役に立ちたい…)

聴き慣れた隊士の声がいくつか耳に入りクスリと笑った。

沖「なんでィ?」

『喋ってる人は原田さんと隈無さん、神山さん永倉さんかな?あとは知らない隊士が3人で話してるよ』

土「…なに喋ってやがんだ?」

(この人の隣で…)

名前は小さく肩を震わせて―



『ナイショ♪』


悪戯に笑ってみせた。

土「なんだ言えねぇか!?」

『え~聞きたいのぉ?』

沖「土方さんも悪い人だァ。人の噂話が好きだなんて」
土「なんでそうなるんだぁ!」
山「まぁまぁ、二人共落ち着いてくださいよ!名前ちゃんもあんまり煽らないでっ」
土「だいたいお前ェの仕事を手伝うのに必要だから聴いてるんだろうが!」
山「え!だからなんで俺ぇぇぇぇ?!」

机を踏み台に山崎に飛びついてそのままの勢いで馬乗りになった。
名前の隣で胸ぐらを掴んで今にも殴りかかりそうな形相の土方を見てから、そっと正面に視線を移す。
すると満足そうな沖田と目が合う。
彼の名を呼ぼうとして、沖田は自身の口に人差し指を当てた。
そのジェスチャーだけで言いたいことが伝わる。

噂をする話のネタを決めたのは沖田だった。

名前は静かに笑って再び瞳を閉じる。

(もう少し、聞いてたいな…)


もう少しだけ…
この心地の良い音色を聞いていたい…



『―――っ!!』

突然耳に入った異様な“音”に、名前は目を見開き弾かれた様に顔を上げた。
/ 38ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp