第1章 始まりのはじまり
すっかり陽が落ち、月明かりが照らす閑静な住宅街。
一軒の大きな屋敷の周りを、闇に溶け込んだ白黒の車が取り囲んでいた。
そして人の二倍はありそうな巨大な門の前に、怪しげな集団が“その時”が来るのを待っていた。
「近藤さん、まだですかィ?」
「俺も、いい加減我慢の限界なんだが...」
「まぁ待て!あと少し!あれが来れば―――」
物騒なバズーカーを構える沖田。
苛立ちを誤魔化しきれずに吸殻をアスファルトに踏みつける土方。
そして携帯の時計と辺りを交互に見る近藤。
「局長ォォォォォォォ!!!!!すいません!遅くなりました!!!」
遠くから観察の山崎が一枚の封筒を掲げて走ってくるのが見えた。
「バカ野郎!でけェ声だすなァ!」
「あ、副長すみません!」
叩かれた頭を抑えながら、封のしていない茶封筒を近藤局長に手渡した。
「ご苦労だった山崎!!」
一枚の紙を取り出すとそこには大きな文字で【逮捕状】と書かれていた。
それをクシャっと握りつぶして
「よし!野郎ども!突入だぁぁぁ!!!!!」
と近藤は自分の合図を待たずに駆け出していた2人の隊士をニヤリと一瞥するのだった。
「ご用改めである!神妙にお縄につきやがれェェェ!!!!」