第3章 真選組のしごと(前編)
楽しい食事とカフェインを注入して元気を取り戻し、名前は山崎に連れられて大きな広間に来た。
そこには局長、副長、他にも沢山の隊長や隊士が座っていた。
山「名前ちゃんはここに座って」
と差し出された座布団は近藤と土方の間、ど真ん中だった。
『え…ここですか!?』
近「おう。良く眠れたか?」
『はい。お陰さまで。ありがとうございます…』
近「そりゃ良かった!まぁ座りたまえ!」
腕を組んでガハハと笑う近藤とは対照的に、土方は煙草を吸いながら近藤を盗み見ていた。
遠慮がちに名前が腰を落とすと、近藤が口を開いた。
近「知ってるヤツもいると思うが、新しい仲間が加わった」
とチラリと名前を見て自己紹介を促した。
『苗字名前です!本日付で監察に所属することになりました!至らないこともあるかと思いますが、一日も早く真選組に慣れるように努めてまいりますので、ご指導のほどどうぞよろしくお願い致します!!!』
どこかで見た光景。
名前は額を畳に擦りつけ深々と挨拶をする。
土「ま、そーゆーこった。くれぐれも女だからって甘やかすんじゃねぇぞー。あとコイツの陰口なんか言ってみろ?」
ふーっと煙を吐きだして、目がギラリと光った。
土「殺すぞ」
隊士の姿勢が3センチは伸びた。
近「任務がない日は屯所の掃除とか、雑務をしてもらうことになってるから、分からないことがあったら遠慮なく聞いて、みんなも教えてやってくれよな!」
近藤の言葉に一同が歓声を上げた。
名前は朝の食堂での隊士たちの対応が脳裏に浮かび、ガクッと肩を落とすのだった。