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ストロベリーフィールド

第2章 最初のいっぽ




しばしの沈黙。


『じゃ、じゃぁ。もしかして、さっきから聞こえてる雨音も、銀さんと土方さんには聞こえてないっての?』

3人は同時に開けられた障子から外を見るが、そこは西陽が庭を照らし、もうすぐ陽が落ちそうではあるが雲ひとつない空があった。


銀土近「・・・・・・・・」

『こ、今夜雨が降ります!』

土「天気予報かっ!!」
銀「とんだ地獄耳がいたもんだ…」

近「面白いじゃないか!」

ずっと話に加わるタイミングを見計らっていた近藤がニカッと笑った。

近「名前ちゃん!その聴能力を我々真選組のために使ってはみてはくれないか?!」
土「ちょっと待て近藤さん!名前は真選組に“保護”されてるんだ!」
近「それは知ってる。だから危険な仕事はさせない」
土「“武装警察”に危険じゃないコトなんかねぇだろうが!」
近「まぁトシ落ち着けって!」
銀「そうだぞー。落ち着けってートシィ」
土「てめぇにトシなんて呼ばたかねぇんだよ!!」

『あの!』

エスカレートしていく言い合いが名前の一声でピタリと止まった。

『私、いいですよ?』

銀「名前、お前…」

名前の漆黒の眼は真っ直ぐ、曇りひとつない瞳で近藤を映していた。

『お荷物は御免です。お役に立てるならなんでもします!私も耳でも手でも足でも、なんでも使ってください』

土「俺たちゃ常に死と隣り合わせだ!そんな危ない真似させられるか!」

『大丈夫!』

ピンと張りのある声が土方の言葉をねじ伏せる。
名前の口元が歪んだ。

『私、剣の扱い方知ってるから』

さっきよりも光を増した西陽が庭の池に反射して名前の表情を隠す。
般若のような口元から名前の真意を読み取ろうと男たちに、更に続けて―

『人を殺(切)るのには慣れてるの』

確かにそう言った。

妖艶。
彼女には齢22とは思えない美しさと危うさがあると、一同は直感的に感じたのだった。



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