第2章 最初のいっぽ
屯所に着くと真っ先に名前を局長の元へと案内した。
「君が苗字名前ちゃんか!俺は近藤勲だ。よろしくな!」
『は、初めまして!名前と申します」
と正座を崩さず両手を畳につけて深々とお辞儀をしてそのまま―
『この度はあのような窮地から助けていただき、入院中のアレやコレや、退院後の家住まいまで貸してくださるとお聞きs』
銀土「名前・・・」
名前の隣に座る銀時と、向かいに居る近藤の隣に座る土方が見かねて声かけた。
あ…と顔を上げると、近藤と目が合い、ガハハッと笑いだした。
近「そんなに硬くならないで!こっちが肩凝っちまう!色々大変だったみたいだけど、今日からココを自分の家だと思って好きに使っていいからね」
『はい。本当にありがとうございます!これからお世話になります!!』
再び額を畳につけるが、先ほどの硬苦しさは感じられなかった。
名前と近藤が笑っていると、だらしなく座る銀時が口を開いた。
銀「んじゃ、こっからは俺が話しさせてもらうぜ」
土方が睨んだが銀時の表情は崩れない。
まるで安心してくれとでも言いたいのだろうか。
『ビジネスってからにはお金が絡んだ話しなんだよね?』
銀「そう。実はあの日俺たちは名前の父親からある依頼を受けてたんだ」
『俺たち?万事屋って従業員さんがいるの?』
銀「そうなの。仕事はキッチリやったんだけど、報酬金が契約してたのより少なかったんだよね」
名前は黙って頷く。
銀「んまぁ、大した金額じゃぁないんだけど、万事屋としては死活問題の金額なので、差額分を名前に払ってもらおうということになりました」
『でも私、家の財産は警察に差し押さえられちゃったから、無一文だよ?』
銀「そう!だから、カラダで払って貰おうと思います!」
『・・・・・・・・・』
銀「あ!今あからさまに俺のこと『いやらし~』とか思ったでしょ!違うよ!!カラダってそういうことじゃないからね!」
『じゃぁどういう意味ですか?お聞かせ願いたく候うございますコノヤロー』
銀「んもー!日本語おかしくなってるよ!?カラダってゆーのは働いて貰うってことなの!」
名前は面食らったように固まった後、自分の思考の浅はかさに恥ずかしくなって俯いてしまった。