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ストロベリーフィールド

第2章 最初のいっぽ


場所は屯所の取調室に移る。

三日三晩寝ずの取り調べを受けているかと思いきや、銀時の表情は明るく、地獄のような拷問というには程遠い穏やかな雰囲気だった。
机を挟んで反対側に座る土方は、たばこを加えてパイプ椅子にふんぞり返ってた。


銀「それじゃぁ、総一朗君が亭主を見つけた時は既に死んでたと?」
土「あぁ。酷ェもんだったぜ。四肢を落とされて首はご丁寧に仏壇にお供え物のように置かれていたそうだ」
銀「うわぁ。んで、家を放火したのはその後か?」
土「遺体と証拠品を回収したあと現場保管してたんだが、一晩経ったら跡形もなく燃えて炭になってやがった」
銀「見張りは何をやってたんだか…。んじゃぁとんだ失態を犯してしまったというわけか、真選組さんは」

土方は、灰皿にニヤリとした銀時の顔を重ねて煙草を捻じ込んだ。

銀「ちなみに、あの娘…名前ちゃんだっけ?知ってんの?」
土「いや、家族も財産も火事で燃えたってことにしてある」
銀「さすがの真選組もそこまで鬼じゃなかったってワケね」

少々の沈黙を破ったのは銀時だった。

銀「あの髪の色もチと気になるな」
土「あ?あぁ、灰色のような髪。ありゃぁ薬の副作用によるもんだ」
銀「麻薬か…それとも媚薬か」
土「どちらにしても自然にあぁなったもんじゃねぇな」

土方が懐から煙草を取り出し火をつけた。

土「押収した薬物の殆どが媚薬の類だった」
銀「麻薬と称して媚薬を売って、自分の娘の身体も道具みてぇに扱ってたのか。とんだ外道だな」



銀時も土方も、あの部屋の光景が目に焼き付いて離れなかった。

血の匂いしかしなかった屋敷にあった異様な空気の部屋。
血の匂いに混ざって感じた雄の匂い。
乱れた服。光のない瞳。体中にこびり付いていた見覚えのある体液。
何が行われていたのかは容易に想像がつく。

銀「なぁ土方くんよぉ。名前ちゃん退院したらココに住むんだよな?」

今度は意地悪そうに笑う。
机に乗り出して声を潜める銀時に嫌な予感しかしなかった。

銀「折り入って相談があんだよ~」
土「話だけなら聴いてる」
銀「実は~依頼料が未払なの。んで依頼主が死んで身内が生きてるなら名前ちゃんから貰うしかないんだよねぇ~」

土「てめぇは悪魔か!」


怒声が響いた。
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