第8章 華落 3
「先生が守りたいもの、わかりますか?」
「え…?」
「先生が消したいものわかりますか?」
「なんだよ…それ…」
「それがわからなければ、先生と一緒にいる資格、ないと思います」
「調子に乗るなよ…」
「これで終わりにしてください」
そっと先生の手を握って、歩き出した。
「潤…」
「先生…帰りましょう…」
「松本っ…」
翔さんが僕の肩を掴んだ。
とっさに花鋏を取り出した。
「…殺しますよ…?」
小さく囁いたら、身体が離れていった。
さっとまた、ズボンに花鋏をしまった。
そのまま後ろを振り向かず、ホテルを出た。
周りの人が少しざわついていたけど、そのままにしてきた。
タクシー乗り場まで小走りで行って、乗り込んだ。
「潤…」
先生が僕の手をぎゅっと握ってきた。
僕もぎゅっと握り返した。
「帰りましょう…先生…」
「ああ…」
タクシーの中で、先生は僕に凭れながら眠ってしまった。
そっと肩を抱き寄せて、先生の熱を感じた。
よかった…何も起こらなくて…
今更汗が噴き出してきた。
先生は…過去を殺しに行ったんだ…