第8章 華落 3
「もう…終わらせようよ…」
先生の声が聞こえた。
「俺もあなたも、過去に囚われてるだけだよ」
「そんなことない。俺は今のお前がいいって言ってるだろ…」
「俺の何がいいんだよ」
「身体」
「ふっ…正直だね…翔さん」
先生は立ちあがった。
そのまま翔さんを見つめる。
懐に手を入れた。
「先生っ…」
先生は驚いて僕の顔を見た。
駆け寄って先生の手を止めた。
手には、花鋏が握られていた。
「だめです…先生…」
「潤…」
さっと花鋏を掴むと、そのままズボンに仕舞う。
「行きましょう…」
先生の手を引いて、その場を後にする。
「ちょ…待てよ!何だよこれ…」
「翔さん…」
立ち止まり、振り返った。
「あなたが手に入れたいのは、人形ですか?それとも二宮和也という人ですか?」
翔さんは黙った。
「今のあなたは欲しいおもちゃが手に入らないで泣いている子供と一緒ですよ…」
「なんだと…?」
先生が僕の腕を掴んだ。
「潤…」
熱い瞳だった。
潤んだ目で僕を見上げる先生は、とても美しくて…
愛おしくて、たまらなかった。