第8章 華落 3
胸騒ぎがした。
先生の携帯に電話をしたけど、出てくれなくて…
思い切って、翔さんの携帯に電話した。
『もしもし?』
「あの…松本です…」
『あ、すいません。僕は櫻井の弟子の大野と言います』
「え…あの…翔先生は…?」
『すいません。携帯を忘れてでかけてしまって…今日は、二宮先生とお会いすると言ってでかけました』
「あ…」
『松本さんって、二宮先生のお弟子さんですよね?』
「あ、はい…」
『すいません、ご迷惑をおかけして…櫻井は時間にはホテルに着くと思いますので…』
「帝国ホテルですか…?」
『はい。そのように聞いています』
「わかりました。二宮に伝えますので…」
『よろしくお願い致します』
大野さんとの通話を切って、僕は部屋を飛び出した。
なにか、得体の知れないものに追い立てられているようだった。
ホテルに着くとロビーに目を遣る。
二人が座っているのが見えた。
良かった…何も起こってなかった。
静かに二人に歩み寄ると、翔さんが険しい顔をしていた。
「そんな話…聞けると思うのか…」
氷のように冷たい声だった。