第8章 華落 3
同じ流派の華道を学ぶ雅紀からだった。
「今?家に居るよ」
『あれ?』
「どうしたの?」
『今、潤の先生と櫻井のボンを見かけたからてっきり一緒にいるかと思ったのに…』
「…どこにいるの…?」
『帝国ホテルだよ』
雅紀の言葉に衝撃を受けた。
先生…まだ翔さんと会ってるの…?
僕じゃ…だめなの?
身体が震えた。
なんで…?なんで…
ひとつになろうって言ってくれたのに…
なんで…?
『潤…?』
「あ、ごめん…打ち合わせに行ってるんだった…僕、気分が悪くて…」
『あ、そうだったんだ。ごめんね。そんな時に電話して…』
「ううん…ごめんね…じゃあ」
電話を切って、僕は家を飛び出した。
そこへ行って、なにができるかなんてわからない。
わからないけど、行かずにはいられなかった。
外に飛び出すと、雨が降っていた。
霧雨…
傘、持ってきてない。
でもいい。
ひたすら大通りまで走った。
先生が翔さんに抱かれてる…
今、この瞬間…
そう思うと、なにもかも引き裂きたい気分になった。
ぎりっと歯噛みする。
苦い味が、口の中に広がった。