第8章 華落 3
「誰かが間違えて持って帰ったのでしょうか…」
「もういいよ…また買うから」
先生は微笑んでた。
「じゃあ、僕も道具片付けます」
自分の道具を、手入れをして片付ける。
全て終わったら、後は教室のスタッフに任せて先生と一緒に帰る。
今日は夜の教室はないから、このまま家に帰るだけだ。
「潤…俺は今日寄るところがあるから、先に帰りなさい」
「え…」
「さあ、行きなさい」
タクシーに一人で乗せられて帰された。
「なにも…聞いてない…」
遠くなる先生の姿を振り返りながら、いつまでも見た。
先生も、いつまでも見送ってくれた。
なんだろう…不安になる…
そんな気持ちを抱えたまま、家に帰った。
ここは先生の匂いがするから、安心する…
リビングに行って、ソファに倒れこんだ。
先生のいつも使っているブランケットが置いてあった。
そっと抱きしめると、先生の匂いがした。
「先生…早く、帰ってきて…」
そう呟いたとき、電話が鳴った。
自分のカバンから電話を取り出すと、友人からだった。
「もしもし?」
『あ、潤。今どこにいるの?』