第69章 モノの子scene12
「和鬼っ…」
翔鬼が洞窟の入口で呆然と佇んでいた。
「翔鬼…ごめんね…僕…」
「和鬼っ…どういうつもりなんだ」
「僕…」
力が入らなくなってきた。
雅鬼の身体をもう一度抱えると、翔鬼に歩み寄る。
「雅鬼をよろしくね…」
翔鬼の手に雅鬼を委ねると、引き返して潤鬼の身体を抱えた。
「ごめんね…翔鬼」
「和鬼っ…」
力を振り絞って、潤鬼と一緒に飛び上がった。
翔鬼を飛び越えて、大きな洞窟へ行くと、幽鬼へと向かう。
「お前…」
驚く幽鬼に潤鬼の身体を渡す。
「お前の依代だ」
そう言うと、幽鬼はにやりと笑った。
「お前に潤鬼が喰えるならな」
「食ってやらぁ…」
黒い影が潤鬼に向かって吸い込まれた。
黒い影が去った後残ったのは、大野だった。
その場に倒れ伏している。
「和…鬼…」
潤鬼が起き上がる。
「おとうさん…」
「お前…」
「おとうさん…潤鬼なら、大丈夫だよね…?」
ふっと潤鬼は笑った。
「気にするな…幽鬼くらい、なんてことない…」
「ありがとう…」
「いけ…」
「うん…ありがとう…おとうさん」
気を失っている大野を抱えると、洞窟を飛び出した。