第69章 モノの子scene12
「ぐっ…う…」
歪みきった瞬間、緩めてやる。
「言え。大野はどうやったら人間に戻れる」
「そ、れは…」
幽鬼が吐き出す言葉を、淡々と聞いた。
長い時間が過ぎた。
「…わかった…」
「どうする気だ…」
「やることがある」
幽鬼の襟首を掴まえて、縦穴を駆け上った。
空を掛けるように進む。
大野…
良かった。
人間に戻れるよ。
僕が、戻してあげるね…
山の洞窟に着いた。
飛び込むと、翔鬼が駆けてきた。
「和鬼っ…!」
傍らにいる幽鬼に気づいて、翔鬼が警戒の体勢を取る。
「翔鬼…ごめん。こいつを見張っておいて?」
「和鬼…どうした?」
「ごめんね…翔鬼…」
翔鬼に抱きつくと、すぐにその場を離れた。
潤鬼と雅鬼の眠る小さな洞窟へ向かう。
今…できるかどうかわからない。
でもやらなきゃ…
小さな岩をどかして中に入る。
潤鬼も雅鬼も、生きているように綺麗な顔をしている。
千年以上生きる鬼。
幽鬼には知らないことはなかった。
幽鬼はいろいろなことを喋った。
幽鬼とはなにか。
修羅とはなにか。
そして、僕達モノがなんなのか。