第69章 モノの子scene12
幽鬼は、その身体をズルリと持ち上げた。
僕の腕を掴むと、ベロリと頬を舐め上げた。
「モノの子を食らうのは、千年ぶりだ…」
動けなかった。
その青い瞳。
とても綺麗で。
目が離せない。
「…なんで抵抗しない…」
「僕を食べたら…大野はどうなるの?」
「…そんなこと、お前が知らなくてもいいだろう」
「教えて。どうなるの?」
肌が粟立ってきた。
髪が逆立つ。
許さない…
大野がこの世から居なくなるなんて、許さない。
「大野は消える。永遠に」
また幽鬼はニタリと笑った。
「お前みたいな、上等のモノを食ったら…戻れねえな…人間には」
くっくっくと笑うと、幽鬼は舌なめずりをした。
「喰わせろ」
瞬間、目の前に火花が散った。
黄色い閃光が幽鬼の身体を弾いた。
声も上げずに幽鬼は飛んで行く。
素早く下に潜り込み、身体を受け止める。
「幽鬼、教えろ」
「なっ…」
もがく幽鬼を押さえつけて、壁に押し付ける。
「お前を大野の身体から追い出すにはどうしたらいい」
「言うか…そんなこと」
「言え…」
ぎりぎりと幽鬼の襟を締める。
その顔が歪むまでやめない。