• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅠ【気象系BL小説】

第68章 モノの子scene11


ピチャン…


水の落ちる音…


僕の…堕ちる音…





目が覚めたら大野が居ない。


大野がおいて行ってくれた着物を羽織ると、急いで探す。


なにか、嫌な予感がした。


縦穴から飛び上がって地上に出ると、焼け落ちた屋敷の跡に出た。


薄墨を刷いたような夕暮れだった。


人々の叫ぶ声が聴こえた。


どこだ…大野っ…


建物の屋根を飛び上がりながら、大野の姿を探した。


嫌な予感が当たった。


大きな杉の木…


そこの頂上にいた、大野。


制御を喪って、咆哮している。


モノの身体に、大野が喰われてる。


きっと、朝、僕を襲ったのもこの大野だ…


「大野ぉっ…」


叫んで飛び上がる。


大野の身体を掴むと、思い切り杉を蹴り上げた。


反動で、遠くまで飛べる。


制御を喪った大野は吼えた。


口からよだれを垂れ流しながら、人間を求めてる。


だめだ…食べちゃだめだ…


きっと、人間に戻れなくなる…


なんとか追手を撒いて、地下の泉まで降りる。


興奮した大野はまだ咆哮している。


「これで我慢して…?」


自らの腕を食いちぎって、大野に差し出した。


大野は僕の腕に食らいつくと、血を吸い上げた。


「いい子だね…大野…」


その青い髪を、いつまでも撫でた。

/ 771ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp