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ヘブンズシュガーⅠ【気象系BL小説】

第67章 モノの子scene10







「翔鬼…あれは大野だったよ…」


そういう和鬼は、どこか寂しそうで。


それでいて嬉しそうで。


「そんなはずない…人間はモノにはなれないんだ…」


「そう…」


金色の髪をかきあげて、和鬼は空を見つめた。


「でも…あれは大野だった…」






あの夜、修羅から和鬼に戻ったとき、呼び続けていた名前…


「大野…大野…」


空を掻きながら、和鬼が求めていたのは大野だった。


胸が張り裂けそうだった。


「和鬼っ…」


腕を掴んで抱き寄せた。


でも震えながら、和鬼が呼ぶ名前は変わらなくて…


「頼む…戻ってくれ…」


そのまま眠りに落ちるまで、ずっと和鬼は大野の名前を呼びつづけた。


それから、和鬼の心は戻ることはない。


修羅の時ですら。


心は大野のところにあるようで。


それでも待っていれば、和鬼は帰ってくると信じていた。


俺たちはモノだ。


この世でたったふたりきりのモノなんだ…






「翔鬼…?」


いつまでも腕を離さない俺を、和鬼は見上げた。


「和鬼…」


「え…?どうしたの?」


力任せに押し倒した。


「翔鬼っ!?」


「和鬼…抱きたい…」


「待って…僕、今、修羅じゃないっ…」
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