第67章 モノの子scene10
闇を切り裂くような声
目が開いて身体が飛び上がった。
子鬼の身体が宙に浮いていた。
「和鬼ーっ」
泣きながらこちらに腕を伸ばす。
「子鬼っ…」
身体に触れようとすると、子鬼は増々上に上がっていく。
洞窟の中は闇で。
子鬼の上には、まだ闇が広がっていた。
みたこともない闇。
「和鬼っ…こわいっ…こわいっ…」
「じっとして!今、助けてあげるからっ!」
洞窟の中を見渡しても、翔鬼の姿はない。
どこかへでかけたんだ…
壁を伝って飛び上がると、子鬼の身体を抱き止めた。
猛烈な冷たさが身体を包んだ。
「子鬼っ…お逃げっ…」
なんとか黒い膜に包まれる前に、子鬼を放り出した。
「和鬼ーっ…」
叫びながら子鬼は落ちていった。
よかった…
「早くっ…洞窟から出るんだっ…」
それだけ叫ぶと、黒い膜を引き剥がした。
剥がしても剥がしても、膜は僕に纏わりつく。
『つかまえた…』
声が聞こえた。
声を辿って膜を引き裂いていく。
「なんだよ…こんなことして…」
正体を見極めてやろうと思った。
冷たい…
一層冷たい空気に、指先が触れた。